安心のマーク神戸鍼灸マッサージ師会 公式ホームページ

(公社)兵庫県鍼灸マッサージ師会 神戸地区(神戸鍼灸マッサージ師会)の公式ホームページです。神戸地区(中央区、灘区、東灘区、兵庫区、長田区、須磨区、西区、北区)で鍼灸マッサージ施術を行なっているはり師、灸師、あん摩・マッサージ・指圧師の方や周辺地域にお住まいの方への情報提供を目的としています。

2023年度神戸地区講習会(第1弾)レポート

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令和5年12月10日(日) 13:30より寺子屋お産塾 代表、一橋アシラム院長 田中寿雄 先生をお招きして「~妊娠・妊娠ライフ・お産・子育て~妊娠ライフと鍼灸医療」との演題で田中先生の長期に渡る臨床経験の中でも妊娠、出産、母乳育児について田中先生の奥様や娘さんやお孫さんのエピソードを交えてお話をいただきました。

特に母乳育児における「母乳の質改善」については長期に渡り取り組んでおられ、その「母乳の質」が改善されたことは「赤ちゃんが教えてくれる」と。赤ちゃんは顔色を伺ったり気を使ったりで母乳の飲み方を変えたりはしないため母乳の飲み方で「母乳の質」が改善されたことを証明してくれるとのこと。

そして、故 入江正先生に師事され奇経を使用した治療の実技供覧を複数の方に施していただきました。「母乳の質改善」には奇経八脉の中でも任脉、督脉、陰キョウ脉、陽キョウ脉が特に関係するとのお話でした。長期に渡り、一つのテーマについて何度も何度も繰り返し取り組まれたことで現在のような完成形の治療スタイルに到達できたのだと思います。

田中先生のような治療の取り組み方や思考はとても重要なことだと改めて感じることができました。

後半は田中先生のお弟子さんであるさいとうはり灸院の斉藤 裕美 先生にご登壇いただき、ご自身の臨床経験から鍼灸院、鍼灸師に欠けていることについてお話いただきました。

斎藤先生はおっしゃいました「治療は回数が多い方がいい、長期間する方がいい」と。一般的に治療は短期間、少ない回数を求められることが多いですが、実際には治癒していくには時間がかかりますし、根本的な部分まで治療できていないと再発するケースが大半で、それでは治療とは言えないのではないかとのこと。

そして、治療を継続するために鍼灸院や鍼灸師に欠けているものは「ゴール設定」ができていないことだと。つまり、患者さんも施術者も実感できる指標をしっかり設定し、その指標が改善したことを以て評価をするということでした。

斎藤先生が専門とされているアトピー性皮膚炎の治療においては具体的には顎関節症の有無や腹部の血管拍動や脊柱の状態などを指標にされているそうです。あと、もう一つ重要なことは、睡眠状態が大切だとおっしゃっておられました。皆さんも臨床現場で患者さんの睡眠状態について問診をされているとは思いますが、少し深掘りして問診していただくといいかもしれません。

田中先生の長期間に渡る膨大な数稽古から得られた技術や心構え、斎藤先生の患者さんとの向き合い方や治療に対する考え方はいずれも非常に大切なことだと改めて実感することができたご講演でした。こういう症状にはこのような治療というような小手先の技術ではなく、本質的な部分に焦点を合わせることは本当に大切なことだと思いました。

報告者:神戸地区 副会長兼学術・広報部長 井上和哉

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